子供新聞の英語学習コンテンツを徹底比較!

読売、朝日、毎日の子供新聞3紙には、それぞれ英語学習コンテンツが用意されています。『読売KODOMO新聞』の「使える!リアルEnglish」、『朝日小学生新聞』の「朝小えいご塾」と「えいごで1・2・3」、『毎日小学生新聞』の「アルパカかあさんのモフモフEnglish」。3紙ともに内容が大きく異なるため、それぞれの基本情報を比較し、さらに子供新聞における英語学習の効果についても考えてみたいと思います。

英語学習コンテンツの比較表

内容
読売 マンガによる英会話学習コンテンツ
朝日 マンガとイラストによる英語学習コンテンツ
+英語の歌つき
毎日 マンガ+英文読解
レベル
読売 難しい
朝日 易しい
毎日 難しい
教材タイプ
読売 英会話
朝日 英文法、英語表現
毎日 英文法、英語表現
動画
読売 あり
朝日 あり
毎日 なし
特徴
読売 英会話に特化した「英会話イーオン監修」の英語学習コンテンツ。動画付き。内容的にはかなり高難易度で、文法理解はほぼ不可。あくまで英会話教材として利用し、マンガと動画を見ながら、たくさん聞いて、たくさん読み合わせする方法がおすすめです。多くの英語表現に触れることができ、学習効率を高めることができます。
朝日 「朝小えいご塾」「えいごで1・2・3」の2つの英語コンテンツがあり、前者は中学レベル、後者は小~中1レベル。「朝小えいご塾」は中学校のテキストに近い内容で、中学英語の予習として取り組むことができます。また「英語の歌」もおすすめです。「えいごで1・2・3」はさらにその簡易版で、はじめての英語にピッタリの教材です。
毎日 「アルパカかあさんのモフモフEnglish」は『アルパカかあさん』とデイビッド・セインさんのコラボコンテンツ。マンガと英文読解で構成されていますが、英文法の理解は小学生には少し難しいかもしれません。あくまでフレーズの読み聞かせ・読み合わせとして利用することをおすすめします。
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子供新聞で英語学習はできるの?

小学生にとって「英文法を体系的に理解する」ことは困難です。そのため、英会話や英語表現を丸ごと覚え、繰り返し聞いたり話したりする方が、効率的に英語を学習することができます(受験英語というより英会話学習法になります)。そういって意味では、子供新聞は単純な英語表現を用いている、もしくは英会話に特化しているため、使いやすい教材といえるでしょう。

もちろん、英語新聞だけで日常会話レベルの英語を習得することは恐らく不可能です。しかし、「ゲーム感覚」で日常的に復習することで、学習したものを浸透させることができます。

たとえば、英会話表現に出てきた「質問文」を子供に投げかけ、返答させてみたり、「○○って英語でなんて言うんだっけ?」と訊ねてみたり、等々やり方はたくさんあるでしょう。

そのように親子で楽しく取り組むうちに、少なくとも英語に対する抵抗感を軽減させることはできるはずです。たくさん褒めてあげれば、英語に興味を抱くようになるかもしれません。「もっと英語を学んでみたい」と思わせることができれば大成功といえるでしょう。

子供が「英語嫌い」になるのは、学校の英語授業が始まってからです。それまでは、あまり英語に対する抵抗感がありません。幼稚園児がクラスで英語の歌を習い、家に帰ってきて楽しそうに歌っている姿を見れば、その意味を理解できることでしょう。

つまり、英語が嫌いになる「前」に英語に触れさせて、お父さん・お母さんと一緒に楽しみながら学習(=遊ぶ)すれば、「英語は楽しいもの」という感覚のまま学校の授業に取り組めるようになるはずです。子供新聞はそういったきっかけ作りになってくれるかもしれません。

そのためにも、子供新聞は少なくとも「英文法教材」ではなく、「英会話教材」として利用することをおすすめします。繰り返しになりますが、「楽しく」「親子で」「遊びながら」学習することが大切です。

子供にとって効率の良い英語学習とは?

日本の英語教育では、英文法を体系的に学ぶことが推奨されおり、文法を理解するためには「論理的思考力」が必要になります。しかし、小学生はまだ「論理的思考」が得意ではないため、「文法から英語を学ぶ」ことが難しい状態にあります。

さらにいえば、小学生はまだ日本語の文法構造すら正確に理解できていません(英文法を学ぶには、日本語と対比しながら理解する必要があります)。そもそも「言語」という概念がほとんど備わっていないのです。その段階で、いきなり「英語」という謎の言語の「文法」を理解しろといわれたところで、英語って何、言語って何、文法って何・・・と混乱するばかり。あまり効果的ではありません。

たとえば、”I want to have a hamburger.”(私はハンバーガーを食べたい)という英文があったとします。英語学習の初期段階(小学生や中学校低学年)では、”I want to have”=「~を食べたい」と覚え、”a hamburger”の部分に別の単語を入れて、さまざまな文章を作る練習をします(例:sushi, salad, fish など)。この際、なぜ”I want to have”が「~を食べたい」という意味になるのか、その文法的説明はしません。(特に小学生の場合は)論理的思考が伴わず、恐らく理解ができないからです。

そうであるなら、「ハンバーグを食べたいときは”I want to have a hamburger.”って言うのよ」、「寿司を食べたいときはなんて言えばいいかな?」と丸ごとフレーズを聞かせたり使わせたりする方が、子供は効率的に英語を習得することができます。

それはちょうど、私たちが旅先でトラベル英会話の英文をほとんど意味も分からずに使うのと同じです。意味は分かりませんが、とりあえず会話は成立します。しかも子供の場合は持ち前の吸収力で次々に英語表現を吸収していきます。結果的に、文法を一から教えるよりもはるかに多くのボキャブラリーを獲得し、本物の英語力を身につけることができるのです。

ようするに、はじめて「日本語」を覚えたときと同じ方法ですね。なんとなく意味を理解しながら、とりあえずたくさん聞いて、たくさん使ってみるほうが、はるかに効率良く英語を会得できるはずです。そういう会得の仕方は、ある意味「子供の特権」ともいえるでしょう。

もしかすると、いろいろな英語表現を知っているけれど、文法構造は全く理解できていない、という状況になるかもしれません。しかし、それでいいのです。文法は後から学習することができますし、その方が効率的です。子供の英語学習を考える場合、子供と大人では根本的に「理解の方法」が異なることを念頭に入れておかなければならないのです。

そういった意味では、子供新聞の英語コンテンツに登場する英語表現を何度も聞いたり、親子で読み合わせをしたりする方法は、子供にとって理にかなった学習法といえるかもしれません。

あいだ

ライター相田 浩二(あいだ こうじ)

個人塾の経営者。「受験テクニック」に頼らない考える勉強法をテーマに、子どもたちへの教育はもちろん、講演会も開催。家族構成は妻と12歳の娘と猫1匹。

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