子供新聞の電子版は実質『毎日小学生新聞』のみ
子供新聞の電子版は実質『毎日小学生新聞』のみ
子供新聞・小学生新聞3紙のうち、現在「電子版」を配信しているのは『朝日小学生新聞』と『毎日小学生新聞』で、『読売KODOMO新聞』は電子版サービスを行っていません。
また、『朝日小学生新聞』の電子版は海外限定となっているため、実質的に電子版サービスを利用できるのは『毎日小学生新聞』のみとなります。
なお『毎日小学生新聞デジタル』は価格・内容ともに紙面版と変わらないため、基本的には紙面・電子版のどちらか利用しやすい方から選択するのが良いと思われます。
紙面と電子版はどちらが良いの?
紙面と電子版はどちらが良いか。なかなか難しい問題ではありますが、まず大前提にあるのは「好み」です。電子版には数々のメリットがあります。
たとえば、当然ながら電子版はタブレットやスマートフォンで閲覧できるため、新聞を広げて読む必要がなく、文字通り手のひらサイズで新聞を購読することができます。また一定期間分であれば過去の新聞を閲覧することもできるため、「新聞を保存しておく」という物理的スペースが不要になります。ようするに邪魔にならない、というわけですね。また端末機能を使えば、分からない漢字や言葉などをそのまま端末上で検索することもできます。
新聞を持ち歩くことなく、しかしいつでもどこでも新聞を読むことができるというのが、電子版の最大のメリットでしょう。
一方で、電子版にそれだけのメリットがあるにもかかわらず、あえて紙のほうが良いという方もいます。やはり新聞は実際に手に取って読みたい、めくりたい、紙のほうが目に優しい・読みやすい等々の理由があります。これはちょうど、「紙の書籍」VS「電子書籍」の構図と全く同じと考えていいでしょう。
書籍においても、どちらが良いというものではありません。なにしろどちらか一方だけが良いのであれば、もう片方は生き残ることができないはずですから。そういうわけで、大前提で述べたように、結局のところは「好み」によるのです。
ただし、上記の話はあくまでも「大人の場合」です。子供新聞であれば、「紙面のほうが良い」あるいは「紙面のほうがメリットは多い」ということができます。
電子版は学習効率が悪い?
まず電子版の最大のメリットでもある「いつでもどこでも読むことができる」という点ですが、そもそも子供は新聞をどこかに持ち歩くという機会がありません。新聞を読むのは自宅の一択であって、学校にタブレットを持っていて休み時間に読むこともありません。もちろん、個人用のスマートフォンやタブレットを持っているお子さんもそう多くはないでしょう。つまり、子供にとって「いつでもどこでも読む」必要がない以上、電子版のメリットはほとんど意味のないものになってしまうのです。
そうなると、今度は電子版のデメリットが目立ちます。まず、これは電子書籍全般に言えることですが、電子書籍は学習にあまり向いていない(かもしれない)という研究結果はたびたび発表されています。たとえば、電子書籍の購読は疲労を感じやすく、注意力が散漫になる。紙面版と比較して、理解度が10%程度低下する。紙面の情報が長期記憶に残りやすい一方で、電子書籍の情報は短期記憶に残りやすい等々。
つまり、子供の学習のために購読する子供新聞のはずが、電子版を利用することで大きくその効果を減退させてしまう可能性があるのです。
また、子供新聞にはさまざまな活用法が期待されています。もっともポピュラーなものでいえば、スクラップノートの作成です。気になる記事をはじめ、『読売KODOMO新聞』の名探偵コナンの時事ニュースや『朝日小学生新聞』の天声人語など、切り取ってノートに保存することを推奨されているコンテンツもあります。
もちろん、切り取るという行為は紙面版でなければできません。切り取ってノートに貼り付けたからなんだ、と思われる方もいるかもしれませんが、子供は五感を活用した行動を通じて、多くのことを記憶し、そして「楽しい」「面白い」と認識していくのです。「新聞に触る」「新聞をめくる」という行為、紙の感触、インクのにおいなど、そういったものもまた、子供の学習にとってなくてはならないものかもしれません。
それはちょうど、赤ちゃんに「電子版の絵本」ではなく、本物の紙の絵本を見せたい、読ませたい、触らせたいと感じるのと同じ発想ではないでしょうか。
もちろん電子版を完全否定するわけではありませんが、「紙面のほうが、メリットが多い」というのは確かだと思われます。
ライター杉本 夏南(すぎもと かな)
2児の母 (長男 10歳 と 長女 7歳)。塾講師や家庭教師の経験を活かし、主に子育てや幼児教育・学校教育の記事を執筆している。